2008年9月15日(月) 22:36
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モリノス
小説「闇の中の子どもたち」を読みました。タイの幼児人身売買や臓器売買の現実を鋭い刃物で書いたような文章、かなりリアルかつ惨い内容であるのに長編でありながら一気に読んでしまいました。物語の世界なのですから、どこかに「救い」が欲しいのですが、この本は最後まで現状を克明に描写して、結局一人が何をしても変えられないので断念という意見の人物とたとえ微力であっても先が見えなくても現地に残り問題に取り組む人という形で締めくくられるのですが、陰惨な内容に読後感が悪いというのではなく「これが現実です」とキッパリ文章で表現する作者の力に「何も知らない自分」「噂だけで物事を判断してはいけない」と痛感しました。こちらの状態と先方の状況をきちんと理解して考えて行動しないで、ただ「大変だ」「現状に不満だ不安だ」と思いながらも何もしないし、自分が巻き込まれてないから良かったとか思いがちな島国日本人ではありますが、高度に成長した分だけ、何か起きてしまった時に一番困っちゃうだろうなとも思いました。むしろ貧困貧富差別の中 に生き抜いている国の人々の方が「現実に立ち向かっている、向かわざるを得ない」と感じます。日本は豊かな国なんでしょうけど、「見えてない」「聞こえない」「後の祭り」という不自由な国なのでは?とこの小説を読み背筋が凍りついてしまいました。
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