2012年8月20日(月) 22:12
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モリノス
「時計の電池交換」。密かに時計好きな私ではあるのですが、時計を巻く腕は一つだし欲しい時計は私のお財布力が足りず、通常はオートマチックなモノを使用しているのですが、数年前にそのフォルムとインパクトで即買いしたそんな高値ではないスイスメイドイタリア製の電池が切れていっぱなしだったので、前々から気になっていた本の町の中にひっそりと営業している昭和建築の個人商店に入りました…。店内は店というより研究所のようで店員さんも白衣に専門的なルーペを顔につけています。入店したのに店員さんは、いらっしゃいませの一言もなく無言で時計の修理をしています。プチ御放置プレイを受けている気分になっていた時に、やおら白衣の店員さんがスッと立ち上がり「…しゃいませ」と蚊の鳴くような声を漏らしたかと思うと、私の顔を背けておじきをしました。えっ?これって、卑しい民草がいとやんごとなき貴い御方を直視してはいけない場合の二重橋渡った界隈のおしきたり御挨拶?あるいは拒否られている?と電池切れの時計を手に戸惑う私…。店員さんは頑な に私の顔を見ず「…んでございましょうか」と同じく消音で言うので時計を見せて「電池交換お願いします」と言ったら、やはり店員さんは私の顔は一切見ないで時計を凝視した後に、口の端がニヤリとしてキラキラと目が輝き「…らくお待ちくださいませ」といいそれは慈しむように大事に時計を持って作業台に向かいました。そこに奥から白髪頭のなんかの博士みたいな老人が出て来て私の時計をためつがえつ見ては、ニッコリとしています。で覇気のない店員さんと時計老博士が、たかが電池交換なのに壊れていないかとか、時計のクリーニングをしてくれるのですが、私的には内心「オーバーホールを頼んだ訳じゃないよ」とハラハラしたのですが、その矢先にまた覇気皆無し店員さんが音もなく立ち上がりカウンターに来て、これまた私の顔は見ずに「500円…ざいます、お客さ…とても良い時計をお持…すね、どうぞ大切…さってください」と言われました。私はあんだけ丁寧に電池交換だてらによくよく時計のメンテナンスをしてくれたのに、代金の安さにビックリ拍子抜けした次 第です。修理店であっても客商売なんですから、この接客じやお客も薄気味悪かろうと思う反面、この白衣の店員さん達、時計を患者のように扱い愛ある時計との取り組みをしてくれているのだろうと、満足しました。お客様に対する態度は不気味でしたが、時計に対する態度はピカイチな所でありました。
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