2007年6月30日(土) 0:29
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モリノス
「楽屋」。私の大恩師・演出家のF先生が手がけた舞台「楽屋」を観て参りました。芝居の内容は劇場楽屋に棲む女優の幽霊と看板女優と気の狂った駆け出し女優が織りなす、女優の心情やらをドロドロとシュールにストーリーが展開する新劇の鏡のような作品にミスター新劇みたいな我が大師匠が若手新劇畑の俳優を演出するという新劇三昧な演目でした。開演前の小屋の前にはいかにも新劇教育受けた「雰囲気のある貧乏臭プンプン」のいかにも若者や若作りの人間が多く、みな肩から「一生懸命芝居してます!」オーラをにじませていました。若い頃の自分もこうだったのかなぁ?と感慨深い気持ちでいましたら。見知らぬ若者から「ツクシダさんおはようございます」と劇団特有の夕刻に朝の挨拶を受けました。そうなのです、同じ期ではなくても私は兄分になりますので弟妹分の期の人は顔を知っていれば上の者に礼節の義をつくすのです。タカラジェンヌならぬシンゲキジエントルな私なのでした。芝居が始まるとすざまじい目力!唸る大音声の地声、尋常ではないテンションで舞台は 進んで行きます。私は研究生のような気持ちにもどり舞台を見続けました。大師匠F先生の演出力はいまなお健在で大師匠は私にとって芝居の上での親でありますから、実父無き今、芝居の父が健在で頼もしく思ったのですが、舞台がはねた後同期の人に私は「なんか新劇ってジャンルは私のタイプではなかったかもしれない、舞台は華やかで美しく夢をお客様にお魅せするのが私の心情、性格演技力構成力は迫力あるけどなんか違和感がある」と言ったら同期の友人は「じやーなんで新劇の劇団養成所に入ったのだ?わけわかなんない」と言われました。さらに私もなんで新劇をお勉強したのだろうと今更疑問に思いましたが、新劇という下地をアレンジして今のモリノスがあるのですから。やはり色々な経験は無駄ではないと思った次第です。
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