2014年8月30日(土) 22:18
|
モリノス
「マヤの一生」。先日、モリノス甥1号の長男R(小4)が夏休みの宿題で読書感想文をしなくてはならないが、選んだ本の感想を文章にするのに手こずり、鉄板のハリーポッターを読み始めたが全巻読破する間に夏休みが終わってしまうと往生していたので、興味本意で私が小学4年生の時に読み、ソノ内容がショックすぎで数日間放心してしまった1970年初版の子供向け小説、椋鳩十作・マヤの一生をRに貸しました。私にとって大切な本ゆえに捨てずにとっておいたものです。私は1970年の本ですし、小4のRからしてみたら古典か?みたいな文章(いまは使われていない、何々してしまうを何々してしもうと記したり、ゆめゆめ思わないとか)ですし、当時の文章表現は現代より過激直接的だったりするし…。今時の表現規制があるユルい子供向け本しか読んだ事が無いRからしたら、全部読めないだろうし、意味もわからないと思っていました。先日モリノス甥1号より「いやーモリクンが貸してくれた本をRが読んでさ、これなら感想が書 けると言って、やっと感想文書き上げたんだよ〜」と言いました。「えっ?」。マヤの一生は満州事変から第二次世界大戦中の九州の田舎を舞台に、人間と動物達の交流を描いた作品です。戦火が広がる日本…。節約のため犬にやる配給食は無い、犬が吠えて騒いだら敵の投下する爆弾の標的になる等の事情で軍用犬をのぞき、飼い犬は町の広場に集められ撲殺という国からの達しがきます。作者は家族同然の犬を殺すまいと奔走するのですが、その行為が裏目に出て非国民扱いされます。それでも作者はなんとか飼い犬を助けようと、撲殺をされまいとするのですが、お国のために命を捧げ散っていった兵隊さんがいるのだ、それなのに犬をかばうなどとは、なんたる頑固キチガイ変人、ウチだって飼い犬を差し出したのになんでお前はそれをしないのか?と、戦中で心が変わってしまった人々に疎外されてしまいます。作者が留守中に、役所の係員が犬を強引に広場に連れて行こうとします。作者の妻、幼い子供達は必死になって抵抗するのですが、結局は広場に犬は連れていかれ、幼い子供の 前で犬の脳天に棒を打ち込みます。その様を見た子供達はどうしていいかわからず、ただワーンワーンと泣きながら家に帰り、あまりのショックで高熱を出し寝込んでしまいます。作者は憤りを覚えつつも熱に侵された子供達の看病をします。その翌朝、撲殺されたかにみえた犬、マヤが最後の命をふりしぼり家まで帰ってきて、玄関先で大好きだった子供の下駄の上に顎をのせ命を引き取ります。作者は「愛する次男のにおいのするげたをみつけ、愛するものの、においをかぎつつ、息をひきとっていったのです。」で文章はカットアウトし終わっています。戦争と愛犬…。その末路が今では到底無理な美しい日本語で綴られた本を読んだRの読後感はいかばかりか?。しかしながらコノ本を読んで感想文が書けたんだから小4だてらに、思うこともあったのでしょう。大叔父の私的には、ハリーポッターではなくマヤの一生を選んで読んで感想文を書いたRを嬉しく思いました。
|