2014年9月30日(火) 21:52
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モリノス
「フェイク」。あれは私が30歳を少し出た時だったと思います。夜王Nさんから、確か今頃の季節だったと思います。とある夜会に招かれというか、今もそうですけど(大分落ち着いたと思うが)秋冬のモリノス装束は全身キチガイ満艦飾で鎧っていました。起毛の絨毯のフロアで、セレブじみた年上の方々を前に宗教的な微笑みを浮かべ、あな恥ずかしいモリノス何様オーラ全開で上から目線で超然として精一杯尖っていたと思います。Nさんはネズミ園から程近いアレな地域出身で少年の頃から卑しい生活の中、成長と共に湾岸を爆音を立てて暴走族のテッペンで旗を翻しバイクを爆走させるというティーン時代を経て夜の世界へ…。そこで血へどを吐くような思いでガンバり抜き夜王になったと噂されていました。私はその夜会でNさんを紹介され御挨拶をさせていただいた時に、私の上から下まで一瞥し、別室に呼ばれました。私は文句のひとつも言われるかボコられるかと心臓バクバクだったのですが、Nさんは私に「アンタの目は尋常じゃない、本心では気配りに集中 していて気の使いすぎで神経すり減らしているだろう」と言いNさん的には私を心配してくれて「あんまり無理して突っ張るなよ」と助言をいただき、彼が指にしていた大粒のダイヤを指から抜き「フエィクだよ」と言って私にくれました。フエィクにしても初見の方からのいただき物をし恐縮したのですが、Nさんは「偽物なんだから気にしなくてもいいぜ」と言われ「まあこれからも頑張りなよ」と労っていただきました。で私は事あるごとにジルコニアのダイヤをイベントやら夜会で使用していたのですが、それを見た方達は「なんて大きなダイヤ」「やはり本物の輝きは違いますね」なんて言われていたのですが、ガラス玉のダイヤを誉められる度に、萎縮していました。この度私は外出時にそのイミテーションのダイヤを指に嵌め仕事先に赴いたのですが、この度はソコに宝石に詳しい方がいて、私の指に鎮座するフエィク飴玉サイズのリングを見せた時に「モリノスさんこれ本物ですよ」と言われました。えーっ?偽物と思っていたのにと困惑しつつも、もし、これが本物だったら?て 考えると邪険に扱っていただけに、ビックリ仰天しつつ、私に「フエィク」だよと言ってモノホンらしき宝石をくれたNの真意がわかった様な気がしたのでした。モノホンを偽物だよと言ってポイって私にくれちゃうカッケーNさんの消息はいまや知りません。
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