2014年10月31日(金) 21:49
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モリノス
「上を向いて歩こう年をとると面白い」。昨日、地元へ向かう私鉄が人身事故(今やほぼ毎日)につき止まり、ではタクシーと思い、しかし考える事は皆一緒、タクシー乗り場は帰宅を急ぐ民草で大蛇がとぐろを巻いているようでした。じやー近くのシティホテルに行って車を呼んでもらうかと足を進めると本屋があったので本の虫の私としては誘蛾灯に誘われるかの様に店内に入り、ドノ本を選ぶでもなく書棚を物憂げに眺めていたら長いタイトル(?)の本を見つけました。「上を向いて歩こう年をとると面白い」…。著者名を見ると、私が若いときに新劇の俳優養成所の研究生だった頃、劇団会員における本公演の時に会場や楽屋でお見受けした刺し子の作努衣に白髪頭気難しそうな雰囲気のEさんでした。Eさんとは長い時間お話した事はありませんが、ソノ後も私の友人の舞踊家とかアーティストが出演するイベントでEさんがおいでになり数年に1回は御挨拶程度させていただく機会がありました。Eさんは数年前に大病をされソノ後のエッセイという事もあり興 味本位で購入、歩きスマホならぬ歩き読みしていたのですが内容が面白く、タクシーに乗るのを止めて近くの喫茶店に行きゆっくり読む事にしました。御自身が年をとられてから病魔に見舞われた時の事、生まれてから出逢った歌の事、悲しい心境で書いた詞が励ましソングとして大ヒットした時の気分、往年の大歌手とのエピソード等々…。歌にちなむ内容の中に段々と老いていく様子、言葉の大切さに対するこだわりがEさん節で語られ一気に読んでしまいました。読後感は文章を通して古代から現代の歌と言葉の変遷、どんだけ年をとり病気しても怪我しても自分のできるやり方で美しい言葉を伝えつづけるぞ!。といったEさんの心意気に大感動しました。夜更けの喫茶店、読んだ言葉の余韻に浸り、気だるくしていてふとソノ本の最後の方をみると「!?」一気にシヤキッと背筋が伸びてしまいました。なんと、この本を出版したのは私が12月に刊行予定の暗黒シャーマンモリノス目線の辛口エッセイ(?)の出版社と同じだったのです。大御所Eさんの本と 私の本が同じ出版社から発売…。喫茶店で独り、畏れ多いにも程があると冷や汗をかき、果たして私が書いた文章の中で使った「言葉」は「言葉」を大切にしていただろうか?と不安になり、しかし、私は私なりに確信犯的に言葉を選んで表現したよな?と自己確認をした次第です。
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